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 2015.12.22 袢纏~染
 


袢纏屋さんから、染ができたので見に来てほしいとの連絡がありました。
やはり、背印が入ると、引き締まります。
落款効果ということでしょうか。

これは試し刷りなので、1着分にカットしてありましたが、
実際には、下の写真のように一枚の長い布に染められていました。



これは、染が終わって乾燥させているところ。
そして、明日、縫製の仕立て職人さんに渡すのだそうです。
すべて手作り、江戸時代の作業そのままです。

手仕事による分業って、おもしろいなぁと思いました。
絵を描いた私は、イメージをできるだけわかりやすく伝えたのですが、
細かな部分など、どうしても、伝えきれないところもあるのです。
その部分については、彫りの職人さんが、手探りで感じ取ってくれる。
そして、彫りの職人さんの暗黙の意図を、染の職人さんが、感じ取ってくれる。

それは、想像通りになる場合や、
思っていたのと違っていたりするときもあるのだと思いますが、
それぞれがその道のプロですから、
たいていは、良い方向へ想像を超えてくれるのだと思います。
その良い意味での裏切られ方が、なんともおもしろいのです。
デジタルではこうはいかないでしょう。

作業のことはさておき、
太鼓の演奏のときは、白い鉢巻きをします。
私が、今回の袢纏の上半分を白地にしたのは、
頭の部分も含めて、豪雪地帯らしく冠雪のイメージも含ませてみたのですが、
こうしてみると、なんだか、手ぬぐいみたいな感じも否めなくはない・・・・
まぁ、型染の藍染だから、しかたがないかな。

あとは、演奏者の腕でカバーしてもらうということで!
 
   
 2015.12.15 袢纏の下図~下図納品  
 

背面


前面

色違いで2種類作ります。

色を付けてみると、線描きの時点では、
気が付かなかったことがあちこちにでてきて、
その都度修正して、また着色して・・・の繰り返しで
思っていたよりも時間をとられてしまいました。

時間の都合上着色が途中になってしまいましたが、
無事に染物屋さんに受け取ってもらえました。
次は、型を彫る職人さんの手に渡ります。

どこも職人不足で大変のようですが、
その前に、型染のための紙の入手が非常に困難になってきているのだそうです。、

昨日、たまたま輪島塗の作品展を見ました。
輪島の中でもトップクラスの先生と呼ばれる職人さんたちの作品でした。
まさに超絶技巧。
どれも見事の一言だったのですが、
今、とても困っていることがあるとのこと。
それは、蒔絵の金地を磨くための炭を作る職人さんがいなくて、
炭が手に入りにくくなってしまったこと。

日本画の世界でも、
数年前、三千本という種類の膠が突然世の中からなくなり、
大騒ぎ(?)になったことがありました。

一つの伝統工芸を守り、技を後世に伝えようと思ったら、
その工芸の製造工程に関わってくるすべてのことをまるごと守っていかなくてはいけないのでしょう。
危機に瀕した状況は、思った以上に広く深いと思われました。
 
   
 2015.12.10 袢纏の下図~線描き完了
 
 
袢纏の下図(背面)



袢纏の下図 (前面)



ようやく線描きが完了しました。
夜叉ヶ池伝説に因んだ龍神の絵柄をあしらったもので、ということだったので、
背面は池に潜る瞬間の降龍を。
前面は池から空へ向かう昇龍を。、
脇で開くと、前後の絵がつながり、
池に泳ぐ1匹の大きな龍になるようにしてみました。
ところどころに散らしてあるのは、地域の花であるシャクナゲです。



ところで、
このたびの一連の作業で、ちょっと驚いたことがありました。

今回、実寸大の下図ということで、B全紙では足りなかったので、
紙を継ぎ合わせたのですが、
違うメーカー(だと思われる)のB全紙の大きさが違ったのです。

B全紙はいわゆるB0というサイズで、
共通規格で1030mm×1456mmと、きっちり決まっています。
それなのに、約2mm違いました。
私はデザインや印刷業界のことはよくわからないのですが、
2mmというのは、ものすごく大きな数値なのではないのかしら・・
これって困る人いるのでは・・・?

追及したいけど、今はそんなことしてる時間がないので、
解明は後回しにすることにして、
明日から着彩に入ります。
 
   
 2015.12.06 袢纏の下図
 


大至急とのことで、
和太鼓演奏用の衣装(袢纏)のデザインから染の下図までの依頼を受けました。
染物屋さんに下図を渡すのは10日後ですが、配色のことなど考えると、
5日間以内で線描きを完成させなくてはいけません。

普段、日本画の下図にはかなり時間をかけますが、
今回は、考えてから取り掛かるのでは、間に合わないので、
頭と手、どっちが先行してるかわからないくらいの速さでどんどん進めていきます。

いつもと違う作業の進め方はとても新鮮で、
かなり夢中になれて、朝から夜まで、ひたすらひたすら描いています。
今回は、躍動感あふれる絵柄にしたいので、
スピーディな作業はかえって良いかもしれません。
しかし、何分にも初めてのことなので、
どうなることやら・・
無事期日までに完成にいきつくといいのですが。
また、今後、経過を報告していきたいと思っています。





袢纏は、肩のところが「わさ」になって、前身頃、後ろ身頃で、絵柄がつながり、
広げると、50号ほどの画面になります。

大きな画面はエネルギーを使いますが、
思い切りのびのび描けて楽しいです。
 
   
 2015.11.30 中学生作品
  
 

美術室の窓から見た景色
下の青い柵は、プールのフェンスです


以前も書きましたが、私が臨時職員として美術の教師をしている坂内中学校は、
全校生徒5人の極小規模校です。
(2年生が2人、3年生が3人、1年生はゼロ)

毎年、この時期に、
1~2学期の作品を地域の文化祭と郡の美術作品展に出品しています。
今日は、全校生徒の作品を紹介したいと思います。






2年生は、『凹版画』を知る。
ということで、塩化ビニールのシートを使って、
ドライポイント版画の作品をつくりました。
なにかテーマを決めると構想が練りやすいかと思い、
鳥をテーマにしました。

黒インクのみで刷ったもの、
そして、それをさらに透明水彩で淡彩画風に仕上げものと、
2点を並べてパネル装にしました。

凹版画のもっとも身近な作品は、お札の絵だよ。
ほら、よ~くみて。
実際に自分で作品づくりを経験すると、
お札の絵の技量のすごさがわかります。




3年生は、授業で学んだ等角投影図と、色彩学を生かして、
砂絵で平面構成をしましょう。
という、ダブルどころかトリプル課題。
でも、最終学年らしい集大成的作品ができあがりました。



この作品のテーマは、
「角と曲線、そして一つに」
他の生徒から、
「スローガンみたいやな~」と、つっこまれていました。

色調もどこか神秘的で、物語性のある作品。
ずっと見つづけたくなってしまいます。



シンプルイズベストな作品。
よくみると、ところどころにボールがあります。
配色のバランスがきれいにできました。
こういう作品は、ひろい会場で映えます。

どれも力作です。
どうかみんな入選しますように!
 
   
 2015.11.23 吹き寄せ
 

「吹き寄せ」  (透明水彩)
松ぼっくり、桜の葉、ケヤキの葉、モミジの葉、松の葉・・・

季節は、錦秋から晩秋へと移り、
枯れ葉舞う頃となりました。

日本古来の伝統文様に、『吹き寄せ』があります。
落ち葉や花びらが風に吹き寄せられた様子が描かれた文様なのですが、
「吹き寄せ」は、「富貴寄せ」とも表現され、
おめでたい吉祥文として使われます。

風が少しずつ冷たくなって、日も短くなり、
どこか心細い気持ちになるこの時期、
言葉遊び一つで、寂しさが一転めでたいものに。
昔の人は、なんて心が豊かだったのだろう・・と感心します。


「吹き寄せ」部分

今の時代に生きる私たちも、
目に見えないものを大切にして、少しでも心にゆとりが持てたら・・と思います。
 
   
 2015.11.17 美術科同窓作家展
 
 


本日、岐阜県美術館で、加納高校美術科同窓作家展がスタートしました。
50周年記念事業の中の最後の大きな展覧会で、
1回生から50回生まで、過去50年間にわたる卒業生が、
各年数名ずつ、合計100名近い作家が参加しました。
私も17回生として出品させていただきました。





平面作品だけでも、洋画、日本画、コンピューターグラフィックス、工芸、映像、ボックスアート・・・
いろいろありの展覧会で、見ていて本当におもしろいです。
日本画も、額装あり、掛け軸あり。

でも、今日、本当におもしろかったのは、
参加作家さんやスタッフの方など、卒業生と話したとき。
たとえ年代やジャンルが違っても、
どこか自分とすごくよく似た部分が必ずあり、
お互いに、この人同じ世界のヒトだ、と感じあっているのがよくわかる。
だから、初対面でも、すぐに昔からの知り合いのように話せてしまうし、
すぐに話が盛り上がって、それでいてすごくラク。

これは、アートつながりの人間関係というだけでなく、
同窓生同志ならではの感覚なのだと思いますが、
不思議でおもしろかったです。



カワイイお客様も大勢見に来てくれました。
とってもマナーよく礼儀正しいです。
みんなが囲んでいるのは、セミの抜け殻をたくさん使ったボックスアート。
みんな興味津々でした。
この子たちの通っている幼稚園は、アート鑑賞の時間を設けているようです。

老若男女、アートの初心者でもプロの方でも、
どなたでも楽しく鑑賞できると思います。
同窓作家展は、23日(月祝)まで、やっております。



美術館からの帰り道、
柿の葉っぱがあまりにも綺麗だったので、つい見入ってしまいました。



紅葉というと、モミジやカエデが思い浮かびますが、
一番鮮やかなのは、なんといっても柿の葉っぱではないでしょうか。
でも、案外そのことを知らない人、多いみたいです。



イチョウの奥にちらっと柿。



一面イチョウの絨毯。
イチョウの葉っぱってとってもいい匂いです。
心が満たされた一日でした。
明日からまたがんばろう~
 
   
 2015.11.10 骨描き
 
 


骨描きというのは、下描きの線描きのことをいいます。
2日かかってようやく描き終わりました。
ふぅ~
眼が疲れたので、保養のため、外に景色を見に行きました。



今年の秋の山々の色づきは、とっても見事です。
写真だと、実際の10分の1も伝わらないのが残念です。



谷あいのくぼ地は一面のススキ。
逆光に透けて光って本当に美しかったのですが、
これもなかなか写しきれず・・・

私の住所をいうと、
同じ岐阜県の人でも、
え?そんな大変なところによく住んでますね!
と、10人中10人の人からいわれるのですが、
こんな景色をみていると、
なんて贅沢なところに住んでいるんだろうって、思えてきます。
 
   
 2015.11.07 小下図
 
 


小下図、いわゆるエスキースのことです。

原寸大の線描きの下絵のことを大下図といい、
色をつけた習作のことを小下図というのは、
小下図は、一般的には小さなサイズでつくられるからでしょう。
でも、小下図も原寸大で作っておくのがベターと思っています。

小下図は、顔彩とパステルで描き、
工程途中のもの、配色が少し違うものなど、3種類くらい作っておきます。

今回のような風景画みたいな植物画の場合、
画面作りにおいて、
モチーフの前後関係(どちらが前でどちらが後ろか)を表現することは、とても重要で、
いつもたいてい、色調、明度、彩度の3つを組み合わせて、描き表わしているのですが、
今回は、構図上、背景近くに黄色、手前に群緑を持ってこざるを得なくなってしまいました。

それは、今までにない、というか、避けてきた配置なので、
そのあたりが、今回の制作の挑戦の部分になってきそうです。



次の制作のための小下図 (顔彩とパステル)
 
   
 2015.10.30 構図と下図
 
 


このところずっと、次の絵のための下図つくりをしています。
いつもの絵よりもやや大きめ(10号)
そして久しぶりの草むらごちゃごちゃ作品。

現地でのスケッチと、モチーフの写生とを組わせて構図を考えていきます。
今回の絵は、植物が画面にびっしり描かれているので、
線だけでは、全体のバランスがさっぱりわかりません。



だいたいの構図をつくっておいて、
線描きに彩色して、バランスを確認します。
花を1つ増やしたり、葉を一枚増やしたり・・・・
そのたびに、また最初から彩色しなおし、少しずつ構図を決めていきます。

ここでしっかりと仕事をしておかないと、
途中で迷うことになるので、
労力を惜しまずやっておきたい作業です。


(クリックで大きくなります)

なんとか構図が決まり、ようやく大下図(原寸大の線の下図)ができあがりました。
明日から、小下図(着彩された下図)つくりにとりかかります。

 
   
 2015.10.29 スワンコちゃんのブログ
 
 


宮崎に住んでいる友人が、
鹿児島のエムズギャラリーで開催中の三人展を訪ねてくれました。
そして、その日のことを、ブログに書いてくれました。

http://whiteswantama.cocolog-nifty.com/
2015年10月29日の日記です。
(お留守番ごくろうさん☆みかんちゃんとこころちゃん)

友人のブログは、セキセイインコブログの人気ランキングでいつも上位にアップされています。
友人のご主人はなんと歌人。
文章は、ご主人が書いていらっしゃるのだとか。
セキセイインコのブログですが、ポエムなどもでてきて、
愛らしく、時に哲学的。
詩情たっぷりで、読んでいて本当におもしろいブログです。

特にセキセイインコ好きにはたまらないと思いますが、
私的には、24歳になる猫のタマちゃんの健康が気になるところ・・・

友人は、日本画教室と絵手紙教室も開いていて、
ブログ上では、
ときどき生徒さんたちの作品なども紹介されています。
時間がかかる日本画とちがい、
そのときの気持ちをさらっと表現できる絵手紙も魅力的です。
 
   
 2015.10.14 秋草のスケッチ
2014/01-06
2014/07-12
2015/01-06
 
 

ツリフネソウ (透明水彩)

アキギリ (透明水彩)

アキギリ (透明水彩)

ススキ (透明水彩)

ムラサキシキブ (透明水彩)


アキチョウジ (透明水彩)

アキチョウジ (透明水彩)

秋は紫色の花が、そして、シソ科の花が多くみられます。
シソ科の植物の特徴は、花がアルペンホルンのようであることと、
茎の断面が真四角であること。

最近、いっきに気温が下がり、
家の周りの木々の葉も色づいてきました。
早く描かないと、あっというまに花の季節が終わってしまいそうです。

明日の朝は霜が降りるかもしれない、とのこと。
寒さに弱い風蘭の鉢を軒下に移動して、
リビングにストーブの準備をしました。




 
 2015.10.11 三浦アートギャラリー会期終了につきまして

昨日をもちまして、大阪本町三浦アートギャラリーでの個展が終了いたしました。
お忙しい中、会場にお越しくださった皆さま、遠方より励ましのお言葉をくださった皆さま、
新しい出会い、懐かしい再会・・・
お心を寄せてくださったすべての皆さまに
心より感謝申し上げます。
どうもありがとうございました。

会期初日はまだ暑く、冷房の効いた会場に半袖でおりましたのに、
最終日の昨日はニットのカーディガンでした。
たった2週間でずいぶんと季節がすすみました。

新しい季節とともに心機一転
新鮮な感覚で作品づくりをしていきたいと思っています。
どうか今後もよろしくお願いいたします。
 
   
 2015.10.04 秋桜の写生
 
 













コスモス 写生 (透明水彩)

秋の入り口。
もともとは、熱帯アメリカ原産ですが、
秋の青空にコスモスが揺れる様は、どこか郷愁をさそい
今や、日本の原風景の一つとなっているのではないでしょうか。

最近では、丈が短く、色鮮やかで、
ボリュームのある花びらを持つ改良種ばかりが目立ち、
従来の、背の高い素朴なコスモスが少なくなってきたように感じます。

台風に何度も倒されても、蕾をつけた茎は、またすぐに天に向かい
次から次へと新しい花を咲かせます。
そして秋桜の名前のとおり、風に舞う散りゆく花びら・・
誰からも愛されるのは、そんなけなげさに魅力を感じるからでしょう。
 
   
 2015.09.28 三浦アートギャラリー個展  
 

スーパームーンの満月の日、
大阪本町の三浦アートギャラリーさんでの個展が始まりました。

展示スペースは、大きな通りに面した1階にあり、
通り側は、一面大きなガラス張り、
店内は、白を基調としたとても明るいギャラリーです。


展覧会において、一番気になるのが光です。
日本画は、置く場所の光の具合によって、
かなり変わって見えてしまうものです。

考えてみたら、こんなにも自然光の要素が多い場所での個展というのは初めてで、
今回の展示でどのように見えるのか、少し不安でしたが、
そこはさすが計算されつくされたギャラリー。
天然鉱石絵の具のキラキラも、微妙な透け感も、
また、額縁の緞子の布の模様も、とてもほどよい感じに展示されていました。
(普段の制作も、こんな光線の中でできたらなぁ・・)

笑顔の素敵な美しい女性店主が迎えてくれます。
多くのみなさまのご来場を心よりお待ち申し上げます。

「三浦アートギャラリー」 大阪市西区西本町1-6-2 
tel 06-6632-5558
地下鉄四つ橋線「本町駅」19番27番出口すぐ

会期は、10月10日(土)まで。
(日曜休廊)
私は、10月3日(土)に会場におります。
 
   
 2015.09.27 京の都へ~デザロンキョウト
 


この日、絵の具を購入したあと、
「デザロンキョウト」というイベントに参加しました。
デザロン=デザイン+サロン
京都を中心に活躍するクリエイターをゲストに迎え、
対談方式での進行、その後、会場全体がフリーとなり、
来場者同志、お互いに交流をはかる、という趣旨。
この日のゲストは、日本画家の定家亜由子さん(一番右)でした。

定家さんは、とても愛らしく美しく、、
聡明な女性で、うっとりしてしまいます。
・・・ということは、今は横におき・・・

このところ、私は、日本画家の生の言葉に飢えていたと思います。
どんなことでもいいから、
会話ではなくて、一方的な音楽のように浴びたかった。。
だから、こうして対談を近くて聞けるというのは
今の私にとって、ありがたいスタイルでした。

主催者の方から定家さんへの質問は、
そのまま私への問いであるかのように聞こえ、
定家さんのご返答も、
私の心の中の言葉と共鳴し、不思議な気分になりました。

「画面のどこから描き始めるのですか?」
「プロとアマチュアの境界は何だと思いますか?」
「描くのがいやになったときはどうするのですか?」
「これが定家亜由子だという狙いをもって制作するのですか?」
「長時間にわたる制作で、テンションを維持し続けるのは難しくないですか?」

などなどを定家さんと一緒に考えながら、ふと、気づいたのは、
これらの質問に対する自分の気持ちというのは、
私の中で、長年の間に変化してきており、
その歳その歳で、思いが違ってきているということでした。
このことは、絵を描く自分を客観的に見ることができて面白い発見でした。

そして、
最後に定家さんがおっしゃっていた言葉がとても印象的でした。
『言葉で語れないところが日本画の弱いところだと思います』

そうなんだ・・
たしかに、最近は、作品と同時に、言葉による表現も求められることが多いです。
今までの日本の美は、言わずもがなな世界がよしとされてきたように思います。
アートは生き物であり、古典的といわれる日本画もまた然り。
さらなる変化を求められてきているのかもしれません。

そのような発信を京都からなされることも、
また京都らしい一面であるように思いました。
 
   
 2015.09.27 京の都へ~放光堂  
 

ずっと行きたかった京都の老舗の絵の具屋さんにようやく行くことができました。


店舗の歴史の重みをずっしりと感じる看板

この店で販売されているのはほとんどが天然絵の具であること、
そして、独自の絵の具も作っていて、
他では手に入らない色があるのが大きな魅力です。

日本画画材のみというあまりに狭いカテゴリーの、
しかも、ここまで深くこだわりを持ったお店があることが、
さすが京都だと思います。


この日、購入した絵の具たち

去年、ある色の絵の具瓶が底をつきました。
それは、「紫金」
購入したのは、30年くらい前になると思います。
とても伸びが良いし、広い面積に使ったりすることはなかったので、
なかなかなくなりませんでしたが。

しかし、高価なせいか、
普段の行きつけの絵の具屋さんには、代替品しかおいてなく、
これは、まったくもって似て非なる色でした。

そして、このお店には・・・・
お店の一番前棚の、一番高いところに、並んでおりました。
しかも6色も!
紫金は、1種類のみと思っていたのに、
選ぶことができるとは、なんとうれしい=!

しかし・・・
値段表記がないのです。
う~~ん
恐る恐るお店の方にお声をかけてみます。

これが、この画材屋さんとの繋がり第一歩となり、
画材やさんは、私とのなにげない会話の中で、
どのような絵を描き、どのような絵の具や画材を組み合わせたらいいのか、
探っていらっしゃるようで、
頼もしいコーディネーターのようでした。



せっかくなので、他の棚も物色してみました。

なんてきれいな色・・・
天然絵の具にこんなのがあるなんて。
紅花の赤い色素のみをとりだして作ったのだとか。
画像では、伝わりにくいのですが、
けっしてけばけばしくなく、まさにはんなりです。

しかし、これも、値段の表記なし。
価格を尋ねると、金額と同時に、
効果的な使い方など、丁寧に説明してくださいました。



さらに、珍しいもの発見!
「油取り珊瑚」
落款をいれたあと、朱泥の油を抑える粉末です。
いつも、もったいないなぁ・・と思いつつ、天然珊瑚を使っていましたが、
こちらは、お値段とってもリーズナブル。
しかも、専用だけあって、使いやすそう。
自分用と、日本画教室の生徒さんたち用に、2本購入しました。

そのほかにも、膠、胡粉、墨、筆・・・
どれも品質にこだわった品揃えで、それらを見ているだけで、
長年にわたり多くの絵師たちをいかに支え続けてきたかが、
よく伝わってくるのでした。

今まで、この店になかなか来られなかったことがもったいなかったです。
もっと早く来たらよかった。

今日は、昨日かった絵の具をつかって、
今、描いている絵に、最後の一刷毛をはき、
完成させたいと思います。
 
   
 2015.09.21 実り  
 

実バラ 写生 (透明水彩)









昨年、彼岸花の連作が面白かったので、
今回は、以前写生した実バラと、先日写生した木苺とで、
「実もの」の連作作品を制作をしてみることにしました。

山の秋は足早です。
冬にもたくさん仕事ができるよう、
一面銀世界になってしまう前に、たくさん準備しておきたいです。
 
   
 2015.09.08 実り  
 

キイチゴ 写生 (透明水彩)  (クリックで大きくなります)

夏が終わろうとしてします。
今年の暑さも過酷でしたが、
それでも、やっぱり、終わってしまうというのはさみしいものです。

夏のかわりに秋がくるわけですが、
それでも、夏の終わりのさみしさと、
秋のはじまりの期待とでは、
夏の終わりのさみしさの方がだんぜん大きく感じます。

すべての生命が輝く夏に対して、
秋は、次世代への託しの季節。
小さな実の一粒一粒がこんなにも美しいのは、
来世への希望がつまっているからなのでしょう。
 
   
 2015.09.06 加納高校美術科50周年
 






私が卒業した加納高校美術科は
今年設立50周年を迎え、
今、その記念行事&展覧会があちこちで開かれています。

6月から12月にかけて、
岐阜市内の画廊や美術館、ギャラリーなど、
およそ20にも及ぶ会場で、卒業生たちがそれぞれの世界を発表。

その中の一つが、
7月18日にオープンしたばかりのメディアコスモスにて開催中の
「現代の美術作家展」です。

画家、金工師、彫刻家、絵本作家、造形作家、舞台衣装作家、紙すき、写真家・・・
美術科の卒業生というだけのくくりで、
アーティストとしてのジャンルは多岐にわたっており、
一つの会場で、幅広くいろいろな作品が見られてとってもおもしろいです。

そして、またその作品の一つ一つがとても見ごたえがあります。
洗練された完成度の高い作品の裏には、
地道な作業と気の遠くなるような試行錯誤があるものです。
今回の展示では、アイディアスケッチなど、
作品づくりの裏舞台なども紹介されていていて、
見る人は、作品の理解がますます深まることでしょう。

超オススメ、アタリ!の展覧会です。
(入場無料でございます)









在学中は、日々、課題をこなすことや美大への受験勉強におわれて、
なにも考えていませんでしたが、
50年前、公立高校に美術科ができたときは、さぞ世論の賛否もあったことと思います。
今この歳になって、ようやく
創設者の先生の熱い思いを考えられるようになってきました。

美術の授業をどんどん切り捨ててる今の日本の教育、
心の豊かさにも、もう少し目を向けてもいいのではないのかな。
 
   
 2015.09.02 実験をかさねる  
 


何年も、ずっとやってきた作業だから、
当然、今回も想像通りになると思っていました。

それなのに、突然、原因不明の失敗。
それからは、何度やっても、ぜんぜんうまくいかない。

しかたがないので、そのまま、だましだまし
作業を進めていくと、
なんとなく打開策がみつかり、先に進めたりするものです。

でも、失敗の原因は、結局わからないまま。

日本画にはそういうことがよくあります。

うまくいかないと、
そうなることのほうが当たり前に思えてきて、
過ぎし日々のことは、まるで幻だったかのように思えてきます。

日本画の描き方は実にシンプルです。
色のついた粒子を膠と水練って、筆で紙にくっつけていく。
ただそれだけ。
『技=さじ加減』である、といえましょう。

時々思うのは、
同じ業者の紙や墨や筆でも、買うたびに質が毎回違うこと。
見た目には変わらないように見えても、
使ってみるとその違いがわかります。

これが失敗の原因だとすると、かなりやっかいです。
何度も実験して、手探っていくしかありません。。

それしても、昔昔、
エアコンもなく、紙だってかなり粗悪なものが多かったであろう江戸時代などなど。
先人の絵師たちは、いったいどうしていたんだろうと、つくづく思います。
 
   
 2015.08.26 へくそかずらの写生  
 




ヘクソカズラ 写生 (透明水彩)

この時期の庭の手入れでもっとも厄介者扱いされているのは、
おそらくヘクソカズラだと思います。
とにかく強い。
なかなか抜けないし、途中で切れると、すぐに枝分かれして
主の茎はさらに太くなり、
すごい勢いで伸びて何にでも絡みつき、
絡んだものを枯らしてしまう。
多産性で、発芽率も極めて良い。

名前は、葉や茎の汁の臭いによるもの。
だから、いっそう刈るのがためらわれてしまいます。

でも、一つの植物として目を向けると、
実にに美しい姿をしていますし、
花の色合いも見事で、季節感もたっぷりと。
好きなモチーフの一つです。

秋になり、すっかり落葉したあと、実だけになった姿も、
なんとも趣があります。
 
   
 2015.08.10 個展の案内状ができあがりました   
 


このたび、大阪の三浦アートギャラリーさんで、個展を開催させていただくこととなりまして
今日、私のもとへ案内状が届きました。
連日の蒸し暑さにぴったりの目にも涼しげなデザイン。
三浦さん、素敵に仕上げてくださって
ありがとうございます。

今回の個展では、このブログで紹介した新作を中心に発表したいと思っております。
関西方面にお住まいの方、ご高覧いただけますと幸いです。
(そのころ、少しは涼しくなっているといいのですが・・)

案内状は、もう少し会期に近づきましたら、
みなさまのお手元にお届けいたします。

未登録の方で、案内状をご希望の方は、
contactよりメールにてご連絡くださいませ。。
すぐに発送いたします。
 
 2015.08.07 たはむれ   
 

たはむれ 日本画 F4

いったいいつまで続くんだろうと思わせる連日のこの暑さ。
台風が、南の熱気を押し上げているから、と単純に考えていましたが、
実は、太平洋高気圧とチベット高気圧の二重構造が原因なのだとか。
つまり、猛暑が猛暑を招く気象状況におちいっている・・・
聞いてるだけでうだりそうです。

そんな季節には、自然とこういう色彩の絵の具に手がのびます。
ヤマアジサイとルリシジミ。
以前より、この両者は似ていると思っていました。
蝶に戯れ、花に戯れ・・


たはむれ (部分)


たはむれ(部分)


たはむれ(部分)

今回は、和紙のマチエールを意識して制作してみました。
和テイストが強調されて視覚的な涼しさが増したでしょうか・・
 
 2015.07.30 睡蓮
 


夏といえば、蓮をはじめ、睡蓮、河骨(コウホネ)など、
水生植物の季節です。
日本の古来種の睡蓮は、またの名を未草(ヒツジグサ)
なんともかわいい響きの名前の由来は、
未の刻(午後2時ころ)に開花するからだとか・・・

友人に、とてもきれいな睡蓮の池のことを教えてもらったので、
さっそく、足を運んでみました。

湧き水のせいで一年中水が澄んでいるのだそうです。。
写真撮影の知識などまったくもたない私でも
こんな写真がとれてしまいました。



睡蓮池を教えてくれた友人は、カメラマンではないのですが、
でも、いつもどこか一味違う写真を撮ります。
その友人の今回の写真がコレ



なんて幻想的で優美なんでしょう。
センスの良さに感心してしまいます。
 
   
 2015.07.22  ヤマアジサイ  
 


梅雨もそろそろ明けようとしている頃、真夏はもうそこまで。
深い緑の谷にヤマアジサイの花を見つけると、
一瞬、蒸し暑さを忘れます。





最近は、園芸種のアジサイの品種改良がどんどん進み、
色の鮮やかなもの、大輪のもの、八重咲のもの、
まるで、花火のようなのもあります。

花火にたとえるなら、素朴で可憐なヤマアジサイは、
線香花火といったところでしょうか。

アジサイは、花びら(ガク)が4枚が基本ですが、
ヤマアジサイには、3枚のものも多くみられます。



ヤマアジサイの写生(透明水彩)

水揚げを失敗してしまったのか、どんどんしおれてきます。
急いで写生しました。
 
   
2015.07.05  訪れ    

訪れ (日本画 F6)

山藤と熊蜂。
「訪れ」というタイトルは、熊蜂が山藤の花に訪れたのと、
春が終わり、初夏の季節の訪れたのとをかけてみました。


「訪れ」 部分

絵の中の昆虫の表現にはいつもとても気を遣います。
描き足らないと弱々しいし、
描きすぎると、貼り付けたようになってしまい、逆に存在感がなくなってしまいます。
過ぎたるは及ばざるがごとしです。


「訪れ」 部分

葉の陰の部分は、エッチングのようなマチエールを作ってみました。

先日、友人から、銅版画の個展の案内状をいただきました。
友人は、日本画家でもあり銅版画家でもあります。
日本画と銅版画は感覚的にどこか通じるところがあるように思います。
友人のハガキを見ていると、
私も、また銅版画をやりたくなってきました。

 
 
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