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 2014.06,24 風にのって



アザミは好きな植物なので今までも何度も描いてきました。
緑の中に揺れる、美しい赤紫色、トゲトゲしい姿形、
堅かった蕾がほころんで、水中花のように開いていくところがおもしろいです。

今回は、花が終わり、タネになるまでずっと見ていました。
タネは、花の中にはいっているときは、小さく折りたたまれていて、
空気にふれた瞬間、ぱっと、放射状に拡がるようです。

この小さな花の中にこんなにも・・・とびっくりするくらいたくさんのタネ。
拡がったパラシュートは、わずかな風をとらえ、あっというまに舞い上がっていきました。

静かなアザミの躍動的な瞬間でした。



野薊の写生 (透明水彩)








 
   
   
 2014.06,12 上村松篁先生  


なんとお呼びすべきなのか・・・やっぱり先生でしょうか。
画学生の頃、狂おしいまでに憧れた・・
いえ、私だけでなく、
日本画を学んでいた私と同世代の人たちは
だれもみな、この人になりたかったはず。
当時の芸大、美大の作品展では、必ず、1点や2点、
あきらかに模倣とわかる作品が目についたものです。

どこまでも気品高く美しく、透明で静謐で。
日本画とはこうあるべきと、作品で教えてくださった、
雲の上の存在のような画家でした。

まとまった規模の展覧会を30年近くぶりにみました。
私は少しは成長しているはずなのに、
見たときの感動は、昔とまったく変わらず、
相変わらず、雲の上の存在でした。

この群緑に辰砂に、煌めく緑青に。
ただただため息でした。
 
   
   
 2014.06,02 春野  


「春野」 

春の小川は、さらさら行くよ。
岸のすみれや、れんげの花に、
すがたやさしく、色うつくしく
咲けよ咲けよと、ささやきながら。
唱歌「春の小川」の1番の歌詞です。
しかし、最初からこの歌詞だったわけではなく、
2回の改変を経て、1947年に、現在のこの歌詞になったのだとか・・
では、その前はどうだったかというと・・・・

春の小川は、さらさら行くよ。
岸のすみれや、れんげの花に、
すがたやさしく、色うつくしく
咲いてゐるねと、ささやきながら。
これは、1942年に変更になった歌詞なのだとか。
つまり5年間だけ歌われたということです。
その間には世界大戦も起きました。
では、その前はどうだったのかというと・・・

春の小川はさらさら流る。
岸のすみれやれんげの花に、
にほひめでたく、色うつくしく
咲けよ咲けよと、ささやく如く。
これが、1912年に初めて教科書にのったときのオリジナルです。
3つとも、ほんのちょっとした違いですが、雰囲気はずいぶん変わるものです。

・・・・そのような記事を読んでいて浮かんだのが、今回の絵でした。




「春野」(部分)
 
   
   
 2014.05.18 ヤマフジ  


ヤマフジの写生 (透明水彩) 

山桜、山吹、空木・・・野山に生えている植物は、その花の季節になると、
こんなにも多かったのかと驚かさせることがよくあります。
フジもまたその一つです。
満開ともなると、まる大きな花の滝が、突然現れたかのようです。

古の世から藤は高貴な花として扱われてきました。
姿、色の美しさもさることながら、
もっとも高貴さを感じるのは、この花の香りではないかと、
写生をしながら思いました。



ヤマフジ写生(部分)



ヤマフジ写生(部分)
 
   
   
 2014.05.09 れんげとげんげ  


げんげの写生 (透明水彩)

仏教に帰依していた祖母は、
ある日、私に、
「これは、レンゲではなくてゲンゲというんだよ。
レンゲというのは、ハスの花のことだからね」
と、いいました。
“ゲンゲ”という言葉は、幼い私の耳に、
かなり衝撃的に響きました。
私の大好きなこの可愛い花が、ゲンゲなどという名前であるわけがない。

それから、数十年が経ち、
すっかり大人になった私には、
“げんげ”は、不思議と素朴に優しく聞こえます。
“げんげ”には、祖母が重なっているからかもしれません。

 

げんげの写生(部分)

岐阜県の花は、“レンゲ草”です。
 
   
   
 2014.05.03 ゆく春  
 

 「ゆく春」

絵の上手い人というのは、“技法”という名の引き出しをたくさんもっていていて
描くものにあわせ、
自在にとりだし、操ることができるのだろうと思います。、
組み合わせれば、表現法は無限になるでしょう。

私の引き出しはまだまだとても少ないので、
今回の機に、なんとか増やしたいと思いましたが、
結局、新しい引き出しを持つまでにはいたりませんでした。

桜は本当に難しいと思います。
日本画は、桜に始まり桜に終わるのではないでしょうか。
 
   
   
 2014.04.26 失敗つづき  


どうも上手くいかなくて行き詰まってばかり・・・同じ構図で4回目の描き直しです。

日本画の制作に関して、私はいつも、地図のない登山に似ていると感じます。
登り始めたときは頂上が見えていますが、
半分すぎたあたりからは、感を頼りに手探りで進みます。
やがて道はどんどん険しく細く、暗くなり、
大げさかもしれませんが、まさに胸突き八丁・・・
それでもわずかな光を手がかりに、作業を進めると、
ふとした瞬間、完成が見えてきたりします。

でも、今回は、どうも道を間違えてばかりいるみたいです。
また出発地点に戻って、やりなおし。

いつまでたっても先に進めず、
私だけ季節から取り残された気分になっていましたが、
家の近くに遅咲きの桜が残っていました。
待っていてくれたみたいで、うれしかったです。
 
   
 
 2014.04.17 イワウチワ  


私の家からさらにもっと山奥に、貯水量、規模ともに日本一を誇るダムがあります。
巨大な人工物は、一つの村をまるごと飲み込み、
深い湖底では、村の歴史や文化、そして豊かな自然が、
多くの人々の思いとともに静かに眠っています。



ダム湖の畔、ギリギリで水没を免れた小高い丘の斜面には、イワウチワの大群生が見られます。
どうかこれからも、ずっとこのままで・・・








イワウチワの写生(透明水彩、色鉛筆)
 
 

 
   
 2014.04.11 ミヤマキケマン  


春は、山に一気に駆け上ってきます。
どんどん芽吹き、つぎつぎと花が咲きはじめました。

今日は、ミヤマキケマンの写生をしました。
ミヤマキケマンは、漢字で書くと、深山黄華鬘
深い山に咲く、黄色の華鬘のような植物、という意味です。
華鬘というのは、寺院や仏堂などの荘厳具の一つなのだとか。

この季節のほんの一瞬、私の家の周りでは、いたるところにミヤマキケマンの花が咲きます。
工芸品のような花の形、唐草透かしのような葉、すべてがとても繊細で美しいです。

 
 
 



 
   
 2014.04.06 山桜  


山桜の写生をしました。
もう何度も描いていますが、なかなか掴みきれません。

春はあけぼの、桜は山桜・・・
桜の魅力は、山桜にこそ凝縮されているように思います。

今日は、いきなり真冬に逆戻りしてしまったかのような寒さでした。
 
   
   
 2014.03.30 「ちひさきもの」  


「ちひさきもの」

今日、どこからかカエルの声が聞こえてきました。
今年初めてのカエルです。
雪が少なかったとはいえ、
体を守るあたたかな毛も、丈夫なウロコもなく、
乾燥にも弱いあの小さな体で、
立派に冬を乗り越えて・・・

春は、耐え抜いたものたちと、新しく生まれ出る命が、
満ちあふれる季節です。
その小さなものたちのなんと愛おしいことか。
今回の絵に登場するのは、耐えたものたち。
このビオラも、冬中、何度も霜にあたり、葉が凍り付きました。

写生のとき現れた甲虫は、ハムシの仲間でしたが、
その後、テントウムシも姿を見せました。

 
 
 

「ちひさきもの」部分

しかし・・・完成した絵を仮額にいれて、はたと考え込んでしまいました。
テントウムシくんのせいで、落款を入れるところが・・・・ない(笑)
 
   
 2014.03.18 50年に1度  


私が暮らしている愛すべき小さな郷は、昔から豪雪地帯で、
毎年、積雪は、軽く背丈を超え、すぐに屋根のひさしまで到達してしまいます。
しかし、この冬は、気持ちが悪いほど雪が降りませんでした。
少雪はありがたいことのほうが多いせいか、公のニュースにはなりませんでしたが、
ここでも、50年に1度の異常気象が起きていたのでした。
画像は、我が家に訪れた春の瞬間。
例年よりも、1ヶ月も早いです。
うれしいような、こわいような・・
 
   
   
 2014.03.12  小さきもの  



部屋に植木鉢を持ち込んでビオラの写生をしていました。
すると・・・・



どこからか、甲虫が・・・ 



ムム・・
名前は知らないけれど、私はキミのことはよく知っている・・
去年の夏に、仲間とともに大発生して、
大切に育てていたキキョウを全部食べたでしょ。

あのときは憎かったけど、こうしてよ~く見てみると、
とってもカワイイ眼をしています。
寒い冬を耐え抜いたんですねぇ。
しかたないから逃がしてあげました。

 
   
   
 2014.03.08  吉野雛~野~   
 
「吉野雛~野~」

以前描いた「吉野雛」には、~雅~という副題をつけていたので、
今回の絵には、~野~とつけました。
2人そろって、手のひらに乗ってしまう小さなおひなさまなので、
春のおままごとのような雰囲気がでれば・・と思い、
ホトケノザ、キンポウゲ、ゲンノショウコ、ヤマザクラ、を添えてみました。
金の屏風でちょっぴりおすまし。
 
   
   
2014.03.03  土の雛   
 
今日は桃の節句
久しぶりにお雛さまの絵を描きたくなりました。
今までも何点か描きましたが、どうも雅に過ぎたように思います。
小さな野の花を組み合わせて、素朴に可憐にしてみようかな。
モチーフの欄にも紹介しましたが、
吉野雛は、足利末期に初めて製作されました。
その後、桜の木を用いて製作されたときもありましたが、
現在は、土製の古代吉野雛と、古代吉野雛土鈴として残っているそうです。

“家並みや 土の雛も まつらるる” (一茶)
 
   
   
2014.02.25  加筆   


日本画の絵の具は光に反射するので、
写真で忠実に再現するのはとてもむずかしいものです。 
前回の写真よりも、こちらのほうが実物に近い感じに撮れました。
しかし・・・数日、画面をみていたら、
花にボリュームが不足していることが気になってきました。
どうも月に負けています。そして、やはり、
彼岸花は燃え立つようでなくては・・・



燃えてくれますように・・・・
祈る思いで、一刷毛、また、一刷毛・・・と、重ねます。


完成「満珠」
 
   
   
2014.02.08  新作 「満珠」   

満 珠 

 

満珠(部分) 



満珠(部分)


前回、彼岸花と月による小品の連作を紹介しましたが、
最初、このように、蕾から満開までの彼岸花を、株ごと描きたいと思っていました。
しかし、月の形、色、背景の処理をずいぶん迷いました。
日本画の場合、本画制作に入る前に、小下図というエスキースを何枚も作り、
仕上がりの雰囲気を構築させていくのですが、
小下図だけではいっこうに見えてきません・・
やってみるしかないと思い、2点制作。
そして、その結果の最終形が今回の作品となりました。

“満”は満月の満、“珠”は輪状咲きの花の形から。


 
   
2014.02.02   月ぬ美しゃ(つくぅぬかいしゃ)  
   
      
      十三夜  (とぅかみっか)                     満 (みつる)
 


 八重山地方の子守歌「月ぬ美しゃ節」からイメージをもらいました。
去年のお彼岸は満月だったこともあり、
月齢に合わせて「満」(みつる)は、満開の彼岸花を。
「十三夜」(とぅかみっか)は、咲ききる前の状態を描きました。
背景の銀月は、錫の箔押し。
錫箔を扱ったのは初めてでしたが、
プラチナ箔より軽く、銀箔より重厚な仕上がりとなるようで、
だいたい狙い通りの月になりました。
今回の文化協会会員展は、この2点を連作として出品しようと思っています。


 
2014.01.31  会員展  
   
 

2014年2月28日~3月2日
会場:揖斐川町中央公民館

揖斐川町文化協会会員展に出品します



 
   
2014.01.26   想画会作品展  
 


日本画教室「想画会」の生徒さんたちの作品展
2日間と短い会期でしたが、とても盛況のうちに終了いたしました。
多くの方々から、ご感想やあたたかい励ましのお言葉をいただきました。
たくさんのみなさまのご来場、どうもありがとうございました。

 

毎年、日本画の絵の具ってどんなのなんですか?と多くの方から質問を受けます。
今回は、会場の片隅に画材コーナーを設けてみました。
写生から本画までの制作プロセスも展示しました。
最低限の基本的な絵の具だけ並べたのですが、それでもこんなにたくさんに・・・
初めて見る方には、日本画ってめんどくさそう~・・・って思われてしまうかも、です。
それにしても、あらためて日本画の絵の具の色ってきれいだなぁ~と思いました。
   
   
   
2014.01.10   
      
 2014年1月24日(土)~25日(日)
  会場 揖斐川町中央公民館 

日本画教室「想画会」作品展を開催します。
10名の生徒さんたちの1年間の作品を発表します。