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 2014.12.27 秋葉神社扁額補修~彩色、落款


落款部分に‘朱’をいれていきます。
‘朱’も古くから使われてきた絵の具の1つです。
天然の硫化水銀(辰砂石)から作ったものが辰砂であるのに対し、
‘朱’は、人工的につくられた硫化水銀です。
‘朱’には、明るい色から暗い色までさまざまな色がありますが、
ここでは明るめの‘本朱’を使いました。

文字の色あいをのバランスをみながら、
少しずつ塗り重ねます。



文字の色をもう一度調整しなおして、
だいたい完成しました。

もっと古さを出そうと思いましたが、
不動尊堂は、最近、柱なども新材で補修しなおしたとのこと。
若干きれいめに仕上げました。



元旦に合わせて掛けられるとのこと。
色味の少ない不動尊堂に古代の色彩が映えることを祈ります。
 
 
   
   
 2014.12.23 秋葉神社扁額補修~彩色の続き  
 

額部分にさらに辰砂を塗り重ね、9割方で筆を止めて
額の内側、文字の彩色に入ります。



‘天然岩群青’
原石は藍銅鉱(らんどうこう)、鉱石名はアズライトといいます。
辰砂同様、古くから絵の具として使用されてきており、
高松塚古墳壁画にも見られます。

群青色絵の具の原石として、他にラピスラズリがありますが、
日本で古来より使われてきたのは、藍銅鉱の群青の方です。



‘天然松葉緑青’
原石は孔雀石、鉱石名はマラカイト。
辰砂、群青、緑青、この3つは、
日本における古代三絵の具
といえましょう。



極薄にといたものを何度も塗り重ねます。
辰砂、群青、緑青の発色のバランスをみながら、作業をすすめます。






隈取りを入れ、文字を引き締めました。
ふっくらとした立体感を出しつつ、地ともなじむように、慎重に作業をすすめます。
 
   
   
2014.12.21 秋葉神社扁額補修~彩色   


砥の粉を薄く塗った上に、下地を塗り重ねていきます



胡粉をベースに緑青、黄土、代赭で色調整し 
極薄にとき、何度も重ねていきます



約20回ほど塗り重ねたところ
また、額部分は、天然辰砂で彩色していきます



辰砂は、硫黄と水銀の天然化合物で、
鉱石名は、辰砂石。
日本では古来から“丹”と呼ばれ、‘神聖なる赤’とされ、
石器時代、縄文時代より土器や木製品の彩色、
また、人を古墳に埋葬する際
上からふりかけられたりして使われてきました。
大変重厚で、落ち着きのある色です。

古さが醸し出す美とは何かを考えると、
それは、‘重さ’であると思います。
年月の重み、寄せられた人の思いの重み・・
 
   
   
2014.12.18 100年の時を遡る試み~秋葉神社扁額補修


経年により剥離が進んでいる秋葉神社不動尊堂扁額の彩色の補修させていただくことになりました。
裏面の記載によると、文化4年(1807年)に作られたものとのこと。



虫食いも多く、状態はかなり良くないです。
資料としても貴重ですし、これは大切に保存しておいて
新しく作られたほうが良いのでは・・とも思われましたが、
なんとか現物の補修を。とのことでした。



発色の良さから、かなり上質の絵の具が使われていることがわかります。
また、自然な状態の中での経年による古色というのは、大変厳かで美しく、
その神さびた様子は、手を加えてしまうことが、ためらわれるほどです。

掛けられていた場所との馴染みもありますし、
この自然の古さの美しさを生かしつつ、補修するのが最善だろうと思われました。
・・・ということで、100年前の状態めざしてタイムスリップ。
修復の経過は随時報告していきたいと思います。
   
   
 2014.12.12 山茶花(さざんか)  



山茶花(さざんか)写生 透明水彩、色鉛筆 

今年は、山茶花がことのほかたくさん花をつけました。
花のサイズも大きく見事です。
山茶花は、鳥媒花。
鳥によって花粉が運ばれます。
花がめっきり少なくなったこの季節、
山茶花だけは、
冬の凍てつく空気の中でも、次から次へと鮮やかな花を咲かせます。







山茶花(さざんか)写生 透明水彩、色鉛筆
 
   
   
 2014.11.29 そのきさらぎの望月の頃  

 
「そのきさらぎの望月の頃」 日本画 F20

“願わくは花の下にて春死なむ その如月の望月の頃”

花を月をこよなく愛した西行法師の代表的和歌。
如月の望月、旧暦の2月15日は、3月下旬から4月上旬にあたるそうです。
花というのは、おそらくやはり桜でしょう。

最期のときが近づいていなくても、
この和歌と同じ思いを抱いている人は多いことと思います。
大きな樹木には神が宿り、花は魂を浄化してくれると信じるからかもしれません。


「そのきさらぎの望月の頃」(部分)

技法的なことについて・・
このスタイルの桜を、15年前に初めて制作しました。
薄暗い場所に絵をおいても、
花がぼぅっと白く浮かび上がるような描き方ができないだろうか。

そして、8年前に「佐保姫」というタイトルで、この絵の習作(エスキース)を作り、
今回、ようやく本画を描くことができました。

モチーフへの追求に、終わりはありませんが、
この技法については、15年かけて、
やっと、ちょっと掴めかけてきたかなと思います。


「そのきさらぎの望月の頃」(部分)

技法を追求しすぎると本質を見失い、
本質を追求しすぎるとテーマを見失い、
日本画というのは、そのあたりのバランスが難しいです。


「そのきさらぎの望月の頃」(部分)

桜を描いている間に、すっかり初冬の気配になってしまいました。
家が雪に閉ざされる前に、
秋のモチーフを、なにかもう少し写生しておきたいです。
 
   
 2014.11.24 岐阜県美術館  


ちょっと久しぶりの岐阜県美術館。
ナンキンハゼが美しく紅葉していました。

 

石造りの門をとおると、
そこはまるで時間がとまってしまったかのように、いつも閑静です。

主催側にとっては問題なのかもしれませんが、
何時間もの行列ができる都会の美術館に比べて、
なんと癒し指数の高いことか。



このポスターの上段の左の絵は、
高校の同級生の長谷川喜久くんの作品。
以前は、人物画が中心でしたが、最近は風景や花鳥も描いています。
今回は、長谷川くんの作品がまとめて展示されているとのことでしたので、
見に来ました。



ぞくっとして、ひときわ目が釘付けになったのは、この「誘惑」という作品。
闇に浮かぶ満開の椿の花と群がりひしめき合ったメジロが、ぶら下がった球状に描かれています。
この画像からではわかりませんが、
すべてのメジロの表情は攻撃的で、昂ぶり苛つき、狂気すら伝わってきます。
一触即発の中での一瞬の安定。
不気味さを、美で押さえ込んでしまう、作家の力量に感動でした。



思わず、図録とカードを買ってしまった 神戸智行さんのイノセントワールド
緑と白が基調になっていて、川や池など淡水の水辺をテーマにした作品です。
明るく爽やかで、カエルやトンボなど、小さな生き物たちへの愛おしさが伝わってきます。

長谷川喜久くんも、神戸さんも、岐阜県出身の同世代。
同郷で同世代の感覚というのは、
理屈抜きで、わかりあえる気がします。
今回の展覧会は、他にも岐阜県出身で同世代の作家が何人も紹介されていて、
本当におもしろかったです。

道を究めるということは、いつも不安がついてまわることと思いますが、
みんな、モチーフにも色彩にも真っ正面から果敢に取り組んでいるなぁと思いました。
私は、最近、いつのまにか臆病になっていたのかもです。
 
   
   
 2014.11.09 童話のようなお話  

幼い頃好きだった童話に、三匹のクマというお話がありました。
お父さんクマ、お母さんクマ、子グマの三匹が森の散歩から家に帰ってみると、
家の中に違和感が・・
子グマのスープだけがすっかり飲まれていて、
子グマの椅子だけが壊されていて・・
寝室に入ってみると、子グマのベッドには、かわいい女の子が眠っていました。
目を覚ました女の子は、三匹のクマに驚いて、慌てて逃げていってしまいました。
という、子グマには気の毒でしたが、カワイイお話でした。

さて、全国でクマによる被害が相次いでいます。
私が住んでいる地域も山奥ですから、当然にはちがいないのですが、
ある日、帰宅してみると、家の中に違和感が・・
換気扇が壊されていて、
ビールが飲まれていたのでした。
・・・と、童話のような話ですが、
もちろん現実は、童話のようにカワイクありません。

置いてあったビールケースがぐちゃぐちゃに・・・
そしてビールを飲んだあと、換気扇から家の中へ侵入を謀った模様・・・






そして、翌日未明、不審な物音がするので、
そっとカーテンを開けてみると、ガラス越しではありましたが、
至近距離にクマの顔が・・!

目が合ったら慌てて逃げていきました。



飲み方・・・・激しいです。
この丸い穴は、やはり「歯」でしょうか。

しかし、発泡酒やリキュール類も置いてあったのに、
これを選ぶとは・・・^^;

・・・ということではなくて、
どうか早く冬眠してくださいね。
 
   
   
 2014.11.06 ありがとうございました  

坂内文化祭、そして坂内での私の個展が終了いたしました。
多くの方にご来場いただき、
また、遠方よりお越しくださった方々も。
本当にどうもありがとうございました。

普段の私をよく知る地域のみなさまの生の感想というのは、
大変貴重で、今後の参考になりました。
また、がんばって描き溜めて、次回を目指したいと思います。
またそのときは、どうかよろしくお願いいたします。 
 
   
   
 2014.10.30  坂内小中学校文化祭にて  


私が美術の教師をしている坂内中学校は、
全校生徒8名の極小規模校です。
美しい大自然と、温かい土地柄に育まれたおかげか、
生徒たち全員が、感性豊かで高い美意識を持っているように感じます。

とっても人数が少ないので
校舎は小学校と一緒。
運動会は地域住民と一緒。
そして、近々行われる文化祭も、地域のみなさんと一緒です。

その文化祭の会場において、
額装済みの私の日本画作品も展示させていただくことになりまして、
今日は、搬入展示にいってきました。

こじんまりとした展示スペースは、天井が高く、良い感じで外光が入り、
とても気に入っています。



坂内はあまりにも交通が不便なので、大きく宣伝できませんが、
会期は、10月31日から、11月5日まで
(11月4日は休館)
お近くにお住まいの方、ご高覧いただければ幸いです。
11月3日には、中学生たちの力作も展示されます。(^^)
 
   
 
2014.10.10 個展  


ホームページを開設して約10ヵ月、
 1番書きたかったことを、ようやく書くことができます。
個展のお知らせです。

2015年1月29日~2月4日
近鉄百貨店上本町店 6階美術画廊
大阪市天王寺区上本町6-1-55
電話(06)6775-1111(代表)


前回の個展から約2年
その間に描き溜めた新作20点を出品する予定です。

今までの個展と大きく違うのは、自ら額装を依頼したことでしょうか。
表具師さんと相談しつつ、絵に合わせて表装を選ぶのは
、難しいながらも楽しい作業でした。

また日にちが近づいたら、あらためてお知らせいたしますが、
まずは、最後の作品の完成を目指してがんばります。

抗うことのできない、生きとし生けるすべてのものの無常に祈りを捧げつつ
丁寧に描いていきたいと思います。
 
   
   
 2014.09.27 萩と羽黒蜻蛉  
 

萩と羽黒蜻蛉 P6

今年の夏の多湿には本当に苦労しました。
日本画って難しい!とあらためて思い知らされました。
しかし、失敗あってこそ、勉強できることも多々あります。
湿度70%越えたら要注意。
これは人間の不快レベルと同じかもしれません。
石、貝、膠、水、紙、
日本画は天然素材ばかりでできていますから。



萩と羽黒蜻蛉 (部分)

今回の葉っぱは、緑青系絵の具の色見本のように



萩と羽黒蜻蛉(部分)

透けるような羽根、すべてが折れてしまいそうな体躯
メタリックグリーンの尾
生きていて動くのが不思議
 
   
   
 2014.09.27 大織部展  


へうげものでおなじみ、戦国の茶人古田織部。
今年は、400年忌とのことで、古田織部にまつわる名品をあつめた展覧会が開かれています。
会場は、岐阜県多治見市の現代陶芸美術館。

私は、陶芸にも茶の湯にも精通しているわけではありませんが、
死が常に隣り合わせだった時代に生まれた美は、
日本人の美意識の原点の1つであるように感じられ、
かねがね興味深く思っておりました。

今回の1番のお目当ては、
国宝茶碗「卯の花がき」、鼠志野鶺鴒(せきれい)文鉢、千利休の遺作といわれる茶杓「泪」



国宝 卯の花がき



鼠志野鶺鴒文鉢



茶杓「泪」

やはり立体作品は、実際に見てみないとわからないものです。
この3点も写真で想像していたものと、まったく違っていました。

凝縮、気迫、ギリギリまでそぎ落とされた姿は、
まさに生死の狭間そのものを形にしたかのようでありました。

共通して感じるのは、極限のバランス感覚、そしてそこから生み出される静けさ。
その静けさに宿るのが日本の美なのではないかと思いました。

それにしても、陶芸の展覧会を見に来る人たちって、
絵画の展覧会を見に来る人と比べて、
服装や髪型がおしゃれな人が圧倒的に多いなぁ~
どんなことにでも自分の世界観をきちんと持っている人ってステキだと思います。
見習わなければ・・
 
   
   
 2014.08.27 背景の明度  


雨続きの今年の夏。
運悪く災害に遭われた方々のことを思うと、胸が痛みます。
どうか再び希望の灯火がお心に宿りますように・・

それにしても、毎日毎日、湿度の高いこと・・・
まるで梅雨が延々と続いているかのようです。
こういう気候は、、日本画の作業をもっとも難しくさせます。
本画に取り組むのは、ちょっと先に延ばして、
下準備をじっくりしておくことにしました。

今回の絵は、先日見た萩とハグロトンボの景色。
まずは小下図(エスキース)をつくります。

この段階で、意識して決定づけていくことは、
モチーフと背景の明度(明るさ)です。
右の図は、モチーフより背景の方を高明度に、
左の図は、背景よりモチーフの方を高明度に描きました。
雰囲気はずいぶん違ってきます。

また、一つの画面の中にも、
モチーフと背景の明度の違いが、入れ替わる部分もつくります。
どの部分を、どちらにするのか、この段階で決めておくと、
本画に入ったときに迷いが出にくくなるように思います。
 
   
   
 2014.08.11 立秋を迎えて  


萩の写生 透明水彩 






まだまだ当分続くと思われる蒸し暑さの中に、
萩の花をみつけました。

そして、萩の枝をわけて入ってみると、
そこには、なんと、ものすごい数の真っ黒いトンボが。
枝にも地面にも、いたるところにとまっていました。
ハグロトンボという種類のようです。



ハグロトンボの写生 鉛筆


そのトンボは、紗の織物のような薄い羽をもち、
まるで蝶々のようにひらひらと飛んで
羽をきっちりと合わせてとまります。
よく見ると、体の色は、エメラルド色に輝いているものもいました。

思わず、鏑木清方の‘築地明石町’を連想しました。



鏑木清方 「築地明石町」

うん。まさしく・・・。



萩 写生 部分



ハグロトンボ 写生 部分
 
   
   
 2014.07.30 風蘭   

「風蘭」 写生 (透明水彩)

去年、友人にもらって植えた風蘭が今年も花を咲かせました。
真っ白い花がとても涼しげですが、奄美や沖縄など、暖かい気候の土地を好み、
真夏の暑い盛りに開花します。

日中はほとんど感じませんが、
日が落ち、辺りが暗くなりはじめると、良い香りを放ち始めます。
そして、夜が更けるにつれ、甘い香りはますます濃密になり、
まるで香水のようです。
まさに、真夏の夜の夢のごとし・・

これは、夜間に飛来する蛾類に花粉の媒介を頼っているからなのだそうです。
なぜ、昼間の蝶ではだめなのでしょう。




 
   
   
 2014.07.20  風薊
 
「風薊」 M8

構想にかなり時間がかかりましたが、なんとか完成しました。
薊は何度も描いてきましたが、今回のが一番スレンダーです。
タネを描こうか、やめようかずいぶん迷いましたが、
描くことにしました。

野薊の持つ野趣をだしたくて、
背景のヒメジョオンは、色調をうんと抑え、
シルエットのように描いてみました。

画面の中にも、風が通り抜けるような透明感を
目指してみました。


風薊 部分



風薊 部分
 
   
   
 2014.07.07 小下図


日本画の基本的なプロセスとして、
写生が終わると、次は、小下図というのを作ります。

洋画でいうところのエスキース・・・完成見本図とでもいいましょうか
こんなイメージの絵にしようというメモ的なものなのですが、
これがとても重要な作業なのです。

以前、日本画の制作を登山に例えたことがありましたが、
小下図は地図のようなものです。
そして、小下図を作ることは、
登山口を見つけることでもあります。

これは重要ながらも、とても楽しい作業なのですが、
(失敗しても簡単に描き直せるので)
今回、どういうわけかものすごくてこずっています。
なかなか見えてきません。

イメージがつかめるまで、いくつもいくつも小下図を作ります。 
                                                                       
 
   
   
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