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  2017.12.31 フォースとともに 
 

スターウォーズ最新作「最後のジェダイ」を観ました。
今までのスターウォーズシリーズは、すべて、公開のたびに観てきました。

スターウォーズが好き?と聞かれたら、好き、と答えますが、
でも、本当は、好きとかキライとかそういうことじゃないわけで・・・。
 
中学3年生のとき、
揖斐川町中央公民館に隣接するの大ホールが完成しまして、
そのこけら落とし的イベントとして、
公開直後のスターウォーズ第一作目の、無料上映会が催されました。
今では、考えられないことですが、
当時の揖斐川町は、ずいぶん粋なことをしてくれたんだなと思います。

学校の帰りに、クラスの友人たちと。
すでに人でいっぱいのホールには、空いてる席など見当たらず、
みんなで床に座ってみたのでした。

あのオープニング映像に、
ジョン・ウイリアムスのあのテーマ曲に、
巨大な宇宙船、
活躍するアンドロイド、
楽器を演奏するエイリアンに、
すべてに度肝を抜かれました。
翌日からは、学校全体が、ルークやレイア姫、ハンソロの話題ばかり。
こんな形で、スターウォーズ第1作目と出会えたことは、
本当に幸せだったと思います。

おかげで、それからの私の人生は、いつもフォースとともに。
でした。

さて、こちらは、映画館のショップで買った、
手のひらに載るサイズのトミカの「全地形装甲トランスポート」
敵方“帝国軍”の兵器、
通称AT-AT


しかし、このままでは、いかにも迫力不足なので・・・



ウェザリング(汚し)を施してみました。
うん。カワイクなりました。



今年も残すところ、あとわずか・・・
みなさまも、フォースとともに良い年をお迎えくださいね。
 
     
  2017.12.27 もう一つの白い絵の具 
   

花以外の部分を、墨と水干絵の具でやや濃いめに彩色した上に、
典具帖紙という極薄の和紙を貼りました。

大きな画面に貼った経験が少ないので、
1回目は、シワができてしまい大失敗。
上から水を引いて、薄紙を剥がし、再挑戦。
下の紙は丈夫なので、2回まではやりなおしが効くと思う・・
祈りながら、息をとめ、慎重に糊刷毛を動かしていく。
なんとかキレイに貼れました。
ふぅ~~~

貼った上から、また3日かけて線を描きおこします。
どうしてこんな面倒なことをするかというと、
桜の花びらの白さの表現に、紙の白を使いたいから。

日本画絵の具の白色は、とても種類が多く、
ハマグリ、牡蠣、方解石、水晶、チタニウムなどなど。
でも、ある意味、究極の白は、紙なのではないか、と思っています。
 
     
  2017.12.13 雪の花 
 

トップページでもお知らせしていますが、
次回の個展の会期が決まりました。

会場は、今までで1番広く、今から身の引き締まる(すくむ?)思いですが、
これが最期、の気持ちを強く心に刻み、臨もうと思っています。

個展用の最終作品になるだろう円形20号、
丸6日かけて、ようやく下図のトレース、骨描きが終わりました。
手こずってしまったのは、
念紙の鉛筆の塗り込み方が足りなくて、写りが薄かったから。
焦らないで、一つ一つきちんとやらないと・・・と反省。

今年は、円形の作品を何点か描きました。
円形というのは、不思議な形です。
安定しているのか不安定なのかわからない。

望遠鏡や顕微鏡をのぞくのを連想させるからでしょうか。
時間も場所も、どこか遠く離れた心象の景色を
フィルター越しに眺めているような気分になります。

この桜をスケッチしているときは、春の終わりで、
見ているそばから、どんどん散っていきました。
“散る桜、残る桜も散る桜”
詠んだのは良寛さんだったでしょうか・・

そのモデルさんの桜。
今は、こんな風です。
満開の雪の花。
でも、この雪の下には、すでに花蕾の準備ができているのでしょう。


 
 
     
   2017.12.04 3回白くなったら・・・ 
 

私が美術の講師をしている坂内中学校の美術室の窓からみた先週の景色です。
目の前に見える山が3回白くなったら、麓にも雪が降る。
それは、とっても良く当たります。
明日は、強い寒波がくる予報。
いよいよ、あの長く厳しい、そして暗くも美しい、
雪の季節が始まりそうです。
 
     
2017.11.25 念紙をつくる  
 



日本画の制作のプロセスは、
まず第一に、原寸大の線描きの下図を作ること。
そして、次にそれを画面に転写していきます。

転写には、「念紙」と呼ばれる、
いわゆるカーボン紙のようなものを使うのですが、
カーボン紙そのものは、油性であるため、
水性の絵の具である日本画とは相性がよくありません。

市販の「念紙」もありますが、
長年日本画を描いている人は、それぞれ自分に合ったものを
手作りしていることと思います。

木炭を粉にして日本酒で練ったものを薄い和紙に塗りつける。
黄土やベンガラなどを日本酒で溶いて薄い和紙に塗り、
乾燥後揉んでやわらかくしてから使う。
または、線描き下図の裏面に、
直接画用木炭をすり込む・・・・
などなど。

私も、さまざまな方法を試してきましたが、
結局、1番最初に習った、薄い和紙を、濃い鉛筆で黒く塗る。
という方法に落ち着きました。
転写した線は、鉛筆で描かれたものと同じですから、
紙のなじみも良いし、消しゴムで簡単に消すこともできます。
そして繊細な線まで転写できます。

しかし、この方法は、時間も忍耐力も鉛筆も、いっぱい必要なのが、
つらいところ。。。
でも、きちんと作っておけば5年くらいは使うことができます。
 
 
     
  2017.11.15 絵の上で絵を描く 
 

久しぶりに大きなサイズの絵。
今、大下図(線描きのみの原寸大の下図)作成中です。
日本画の制作は、基本的に常に寝かせた状態で進めていくので、
 大きな絵の場合は、絵の上に乗って絵を描いていきます。

完成までには、時間を要しそうなので、
おそらくこれが今年最後の作品になりそう。
新作はしばらく載せられませんが、
日々のつれづれや、
写生などはそのつどアップしていきたいと思っています。
 
     
   2017.11.06 島に若夏、風を呼ぶ 
 
若夏 (日本画) M4

前回の「新北風」に引き続き、沖縄を題材に制作しました。
「若夏」とは、沖縄の言葉で、初夏のことです。
5~6月にかけての梅雨時の晴れ間のイメージでしょうか。

制作過程を撮影してみました。


墨で骨描します。


水干絵の具で下塗りします。


全面に、シワクチャのアルミ箔を張り付けます。


乾燥後、余分な箔を除去します。
(掃除機で吸うと楽です)
シワになったところが模様になりました。

ガムテープで、さらに余分な箔をはぎ取ります。


全面に薄い胡粉を塗って、箔のテカリをおさえます


岩絵の具でトーン(色調)を整えていきます。




魚を描きおこしたり、背景になじませたりして、
バランスを整えて、完了です。




 
     
   2017.10.30 北野神社の牛と大垣城  
 


前回の記事の続きです。

北野神社の以前からの牛。
体一面に、水玉模様がみられます。
これは意図的に描かれたものではなく、最初からこのような模様の入った石なのですが
これはなんという種類の石なのか、
そもそも、いつ誰の手により作られたのか、
すべてが謎のままでした。

しかし、去年の秋、たまたま行った東京国立科学博物館の石の展示のコーナーで、
おそらく同じであろうと思われる石をみかけました。


展示されていた石は、「石灰岩」というおおまかな表記でしたが、
調べてみると、これは、石灰岩の中でも、フズリナ石灰岩といい、
この水玉模様はフズリナという古代期の生物の化石。
そして、フズリナ石灰岩が使われた代表的建築物は、
なんと、岐阜県の大垣城の石垣、とのことでした。

大垣城の石垣が、石灰岩でできているというのなら、
石切場は、赤坂金生山に間違いありません。
金生山は、指折りの石灰岩の産出地です。
そして、赤坂金生山は、揖斐川町からも近い。
ということは、北野神社の旧牛は、金生山でとれた石灰岩なのは、
ほぼ確実でしょう。

しかし、やはり、実際に目でみて確かめなくては、
すっきりしません。


またも、霧雨けぶる中、大垣城にいってきました。


あった!フズリナ石灰岩です。


これなども、まさに北野神社の牛の石、そのものです。
しかし、大垣城の石垣の化石入りの石は、フズリナだけにとどまらず・・・
















化石がウジャウジャ!
大垣城の石垣は、どこも化石だらけ!でした。
ずっと、近くに住んでいたのに、まったく知りませんでした。


大量の化石をみたあと、もう一度、北野神社の牛をみてみます。
たくさんのフズリナ化石。
フズリナ以外の化石は入っていないようです。
それは下の方に多くみられ、上の方にいくほど少なくなり、
美しいグラデーションになっています。
北野神社ということもあり、古代期の化石は、まるで、
舞い散った梅の花びらのようにも見えます。

2億5千万年前の生物と北野神社。
古さは違いますが、この土地のいにしえの歴史を持つもの同士が一つになる。
そのことがわかった今、
この牛を制作した方の思いが、垣間見えた気がしました。
 
 
     
2017.10.21 北野神社牛奉納   
 
霧雨けぶる中、
揖斐川町中町の北野神社に、牛の石像が奉納されました。
作者は、友人の彫刻家渡辺尋志さん。
(今日にいたる経緯は、
2016年6月20日と、2017年7月5日の記事を参照ください)










慎重に位置決めされ、
まるで眠っている牛を起こさぬように扱うがごとく、
静かに厳かに奉納されました。


渡辺さんの牛は、穏やかに眠っているようにも、
なにかを深く思っているようにも見えます。


事故で傷ついた以前から牛も、引退することなく、
今までの場所に置かれています。
眠っている牛の背中越しに、以前からの牛が見えるのですが、
こっちを見てるのがおもしろいです。


中町の区長さんと渡辺尋志さん。
置かれたばかりだというのに、空間にすっとなじみました。
縁があるというのはこういうことなのでしょう。


鳥居をくぐると、まず、おなじみの牛がお出迎え。
そして、右手の灯籠の向こうに新しい眠り牛が迎えてくれます。
参詣の折りには、どうぞ2体の牛を撫でてくださいね。

なお、古くからの牛については、
今回の件により、あらたなおもしろい事実がわかりましたので、
また近日中にアップしたいと思っています。
 
     
2017.10.16 新北風(ミーニシ)  
   
新北風(ミーニシ) 日本画 円形SM

新北風(ミーニシ)というのは、
10月頃から、沖縄に吹き始める北よりの季節風のことです。

沖縄の言葉で、ミーというのは、新しい、
ニシというのは、北という意味ですが、
北風のこともニシといいます。

沖縄では、方角を表すのに、
東はアガリ、西はイリ、南はフェー、
そして、北はニシ。
東と西をアガリ、イリと呼ぶのは、
太陽の昇り沈みに由来していますが、
北をニシ、南をフェーと呼ぶのには、諸説いろいろあるようです。

新北風(ミーニシ)が吹くと、真夏の暑さもおさまり、
涼しくて過ごしやすい秋が到来します。
暑さで弱っていた野菜たちも活力を取り戻し、
再び、収穫の時期を迎えるのです。

以前、沖縄で聞いた民謡にこんなのがありました。

『いーてぃ花咲ちゅるや いんでぃばのがんしー
ニシ吹ちば成ゆる ちんくわぁ なーべらー』

“いーてぃ花咲ちゅる”
歳をとっても花が咲くよ
“いんでぃばのがんしー”
成長のとまった野菜も
“ニシ吹ちば成ゆる ちんくわぁ なーべらー”
北風が吹くと実るよ カボチャとヘチマ

なんともゆったりとした優しい歌です。


新北風(部分) 日本画


新北風(部分) 日本画


新北風 (部分) 日本画
 
     
   2017.10.13 想画会研修・不染鉄展 
 

今年の日本画教室の課外研修は奈良でした。
目的地は3ヶ所。

1,薬師寺
田渕俊夫画伯により描かれた「阿弥陀三尊浄土絵」特別公開
平山郁夫画伯の50mにわたる壁画「仏教伝来の道と薬師寺」特別公開
2,興福寺 
仮講堂にて、国宝天平乾漆群像展
3,奈良県立美術館
「没後40年幻の日本画家不染鉄展」

田渕俊夫さんの薬師寺食堂阿弥陀如来像は、
その制作過程が、ニュースやドキュメンタリー番組で、
再三紹介されていますし、
ラピスラズリを惜しげ無くふんだんに使った平山郁夫さんの作品は、
いうまでもなく、
興福寺の仮講堂における国宝群像展も、
有名な阿修羅像がガラスケースなしでみられるということもあり、
もちろんハズレなし。
この2ヶ所のすばらしさを述べるのは、ここではちょっと控えておきまして、
さて、不染鉄展。

そんなに立派ではない(失礼)奈良県立美術館。
所要に1時間も見ておけば十分だろうと思っていたら、
甘かったです。

すべてにおいて、まったく手抜きなしの、
これでもかというような描き込みの作品ばかりが、
約180点。
見応えたっぷりの展覧会でした。



マクロとミクロの融合とでもいいましょうか、
たとえば、この「山海図絵」
画面に近づいてよ~く見ると、
下の方の海には、魚の群れ、
つきだした半島の灯台の下には、畑があり、山の中腹には棚田、
絵の真ん中には、鉄道も走っている。



富士山の裾野の向こう側の景色には、冬が到来していて、
画面上部には、暗い日本海が広がっている



こんな日本画は見たことがない!
・・・と思いつつも、どこか覚える既視感。
この印象なんだったっけ・・・・と記憶を探ると、
そうだ、ブリューゲル(バベルの塔の)だ、と思ったのでした。

幻の画家といっても、
隠遁生活をしていたわけでも、
生涯未発表のまま終わったわけでもなく、
地元の公民館などで個展をしたり、
商工会の地域特産品などの開発に協力したりもしています。

でも、自分の描きたいもの、美しいと信じるものだけを
追求しつづけるという姿勢は一生崩さなかったようで、
そのあたりが、幻の画家たる所以なのかもしれません。



人生の後半に描かれた銀杏の絵「落葉浄土」
「この世のものとは思えないほど美しい絵を描きたい」
と、銀杏の絵を、何度となく描いたそうです。
そう、
画家が絵を描く理由は、そこにつきるのだろうと思います。

若いときに描かれた水墨画は、私からみたら、
すでに、この世のものとは思えないほど美しく、
代表的な山海図や銀杏図と同じくらいすばらしいと思うのですが、
これ以上、不染鉄について語るとキリがなくなりそうなので、
もし、ご興味をもたれたのなら、
奈良県立美術館(県庁の北側)で、
11月5日まで開催していますので、是非、お訪ねください。
誰でも大満足の展覧会間違いなしです。
 
     
  2017.09.30 夏の終わり    
 
「夏の終わり」 日本画 P6

七十二候に草露白(くさのつゆしろし)というのがありますが、
そんなイメージで描いてみました。

花期の終わりがけに咲く朝顔、
朝露が消えるのと同時にしぼむ露草。
儚きものを儚きように。。。


夏の終わり (部分)


夏の終わり(部分)


夏の終わり(部分)
 
 
     
2017.09.24 この事実が意味するところ 
   







先日、表具屋さんで、ゾッとする話を聞きました。
岐阜でただ一軒の日本画専門の画材やさんが
今年いっぱいでお店をたたまれるのだと。

日本画材料を扱うお店は、
年々減少しており、
以前は、数軒あったお店も次々閉店して、
岐阜では、このお店1軒のみになっていました。
唯一のお店でしたので、逆に大丈夫と思っていたのですが・・・

どうか間違いであって欲しいと願いながら、
おそるおそる電話をしてみたら、
「情報、お早いですね・・・・本当です」

私が高校生のときから通い続けた画材屋さんです。
整然と並んだガラス瓶に入った石の粉。
初めてお店に入ったときのこの光景をみた感動は
今でも忘れられません。
これから私は、こんなにも美しい絵の具を使って
描いていくのだということに
誇らしさすらおぼえたものです。

日本画の絵の具は量り売りが基本です。
一両目は15グラム。

私が訪れたこの日も、
高校生の女の子が慎重に棚から絵の具瓶を選び、
一両目ずつ測ってもらっていました。

日本画の絵の具は、高価なので、
学生には、そうそう一度に多くは買えません。
ご店主は、昔から、どんなに少量でも親切に接してくれて、
わからないことは丁寧に教えてくれました。
(どこかの古くて有名な街の
一見の客を値踏みする老舗の店とはえらい違いだ)

それにしても、さみしい。
ご店主は、手に入りにくい画材については、
“今後、これはどこどこで買えます”とか、
“これは製造元に問い合わせると良いです”とか、
説明してくれるけれど、
そんな話を聞けば聞くほど、悲しくなってしまいます。

世の中から日本画がなくなってしまうことはないだろうけど、
描く人が急激に減っているのも、ますます減っていくのも
たしかなようです。
 
     
  2017.09.13 夏の終わりの・・・  
 











昨夜は、久しぶりに満天の星空。
はくちょう座が渡る天の川もくっきりと。

高くて青い空にたくさんのアキアカネが飛び、
シーズン終盤の朝顔は、ひっそりと咲くようになってきました。

今でないと感じられない草花の様子を
たくさん写生しておきました。

日本画は、とにかく手間と時間がかかるので、
写生の後、制作にとりかかる頃には、
すっかり季節が移ってしまっているということが、
ほとんどです。

今回の絵は、
夏の終わりのこの空気がまだ残っている中で、
描いていきたい!
そう思い立って、急いで骨描きをしました。
(クリックで大きくなります)

 
 
     
  2017.09.04  夏の終わり 
 
珊瑚と貝とブーゲンビリアの写生(透明水彩)

9月の声をきき、朝晩めっきり涼しくなってきました。
蒸し暑いのはしんどいですが、
好きな夏が終わってしまうのは、ちょっとさみしいです。

沖縄でひろってきた貝殻や珊瑚。
遠い日の夏休みの思い出。 
アルバムをめくるようにならべてみる・・・








 
     
  2017.08.25  翠葉青文  
 
翠葉青文 日本画 円形4号 

今年は、地獄極楽絵とか、琳派とか、
古いものに触れる機会が多かったからか、
影響を受けて、重厚感のある雰囲気に。

タイトル中の青文というのは、
金魚の種類の名前です。
中国からきた灰青色の優美な形の金魚です。

この絵を描くために、黒っぽい金魚を買いにいったのですが、
金魚やさんがおっしゃるには、
どういうわけか、今年は、
今までにないほど、黒い金魚がよく売れるのだそうです。
わずかな残りを、私がすべて買ってケースは終了したのでした。


翠葉青文  (部分)


翠葉青文 (部分)


翠葉青文 (部分)
 
     
  2017.08.15  あをによし奈良の都と閻魔様 
 

久方ぶりに奈良へ・・・

 
奈良国立博物館で開催中の「源信展」
「よかは(横川)の僧都」で名高い恵心僧都(源信)の1000年忌特別展です。

かねてより実物を見たかった、国宝の六道絵、
地獄草紙、病草紙、餓鬼草紙などなどの地獄絵、極楽絵の名品が、
一堂に展示されるということで、いってまいりました。

源信は「往生要集」を編纂した高僧。
「往生要集」というのは、
あの世へのガイドブックとでも申しましょうか。
その冒頭の章にでてくるのが、地獄の紹介で、
それを誰がみてもわかるように絵画にしたものが、六道絵や地獄絵図です。

極楽絵の阿弥陀様には大変申し訳ないのですが、
圧巻だったのは、地獄のコーナー。
絵師の名前はどこにもでてきませんが、
この画力のすさまじさ。
描かれているのは、それはそれは恐ろしくて、トラウマ必至、
説法の効果もさぞ絶大であろうと思われるような内容ですが、
その恐ろしさを超越してしまう美しさ。

やはりどんな立派な図録や映像でも、この迫力は伝わらないでしょう。
本物がみられて本当によかった・・・

・・・と、思っていたのですが、
展示室の一角の「デジタル六道絵」をみてみて、びっくり!
8Kスーパーハイビジョン映像が話題になっていますが、
(これは、書かれていなかったので、8Kなのかはわかりませんが)
六道絵をデジタル撮影したものが、、タブレット端末に入れてあり、
自分で操作して、目の前の大スクリーン(畳2枚分くらい)
に拡大して映し出せるようになっていました。

雰囲気としてはこんな感じ



実物は、経年により、暗くなってしまっている部分もあるのですが、
解像度が高いので、クリアに見せることなどもお手のもの。
また、実物では、気づかなかった細密部分なども、はっきりわかり、
この絵師の凄さを、再認識したのでした。



この日の夜は、春日大社の万灯籠。
境内すべての石灯籠と吊灯籠にろうそくが灯されました。





先日、父の墓参にいったとき、
ふと、新しく刻まれた文字のある墓誌に目が行きました。
そこには、中学のときの同級生の名前が。

今は、此岸の辛苦から解き放たれて、光に包まれている友人を思い、
合掌。
 
     
  2017.08.04  人類と気候の10万年史 
 

気候学や地質学は、、
新たな試料の発見や、より詳細かつ正確な分析方法の開発などで、
日々進化しつづけています。

ついこの間まで、周知の常識のように思われていたことが
実は、まったく違っていたことがわかった、なんてこともあるわけで、
そういう意味では、私たちの過去や歴史は、
刻々と変化しているといえます。

最近、おもしろくて一気に読んだ本。
「人類と気候の10万年史」

福井県の三方五湖の一つ、水月湖底の
7万年分の堆積土のボーリング調査による、
10年刻みの花粉の化石の調査報告書です
その結果見えてきたことは・・・

『地球は、公転軌跡の形の影響で、
10万年周期で氷期、温暖期を繰り返してきており、
そして、さらに地軸の傾きにより、
2万3千年の短い周期で、小さな氷期、温暖期を
繰り返してきた』

『そのサイクルにあてはめるならば、
今の地球は、もうとっくに(5000年くらい前に)、
氷期に入っていてもおかしくない。
また、過去の地球の気候は、数年刻みで激動するのが普通であり
氷期といえど、単に寒冷な気候がずっと続いたわけではなく、
かなり激しく変動していた。
今のように、温暖で変化が少ない気候が1万年以上も続いていることのほうが
過去に例をみないことなのである・・・』

・・・という内容。

温暖で安定した気候が1万年続いたおかげで、
人は、狩猟から農耕へと生活スタイルを変えることができ、
食料の確保と定住は、人類の繁栄につながった、といえます。

しかし、
世のすべての事象がそうであるように、
同じ状態というのは続きません。
ましてや、地球は、地表の私たちが想像するよりも、
ずっとずっとアグレッシブな活動を、今も続けているのです。
ある年を境に、また突然、激動期に突入する、なんてことが、
目前に迫っているかもしれません。

もし、人類の滅亡を最小限にとどめようと思っているのなら、
もっとも愚かな行為は、軍事に労力と資金を注ぐことでしょう。

“平和ぼけ”という言葉がありますが、
戦争なんかをすることこそが、温暖期が1万年続いてることの、
平和ぼけに他ならないのですから。
 
 
     
  2017.07.24  モミジ(カエデ?) 
 
ヤマモミジ?の写生 透明水彩


ヤマモミジ?の写生 透明水彩


ヤマモミジ?の写生 透明水彩

鳥が運んできたのか、いつのまにか庭の隅に生えていたモミジの木。
ずいぶん大きくなって、、夏には青々と涼しげに、
秋には、黄色や赤に紅葉して楽しませてくれます。

この写生を機に調べてみたら、
どうやら「ヤマモミジ」という種類のようでした。
(詳細は後述)

しかし、
以前からずっとナゾに思い、解決できていないことがあります。
それは、カエデとモミジ。

私は、ずっと、カエデとモミジは違う植物だと思っていました。
カエデというと、思い浮かぶのは、カナダの旗。
メープルシロップがとれたり、、弦楽器の材料になったり、
そうそう、街路樹にもトウカエデという木があります。

モミジは、京都の庭園などでおなじみのアレです。
京都の秋は、モミジのおかげで大変な賑わいに。

でも、実は、学術的には、モミジという植物は存在せず、
カエデというのが、正しい植物名であり、
モミジは俗称、または、赤や黄色に色づいたカエデの総称。
だと説明してある記事をみつけました。

いや・・・モミジはモミジ、カエデはカエデでしょう。
実際、今回の写生の木も、「ヤマモミジ」という名前なのだし。。

ややこしそうなので、
これについてはまた後日、きちんと調べることにして、
うちの庭に生えてきたこのモミジ、
よくみると、1本の木の中でも、いろんな形の葉っぱがありました。
そのせいで、はたしてこれが本当に「ヤマモミジ」なのかも、
よくわからないのですが・・



これはすべて同じ木から採取しました。
比べやすくするため、だいたい同じ大きさのを選んでみたのですが、
葉っぱの切れ込みが7つだったり9つだったり、
切れ込みが深かったり、浅かったり、
縁の鋸状が大きかったり小さかったり・・・
けっこう気まぐれのようです。

この木の根元に小さな芽がでていたので、
堀取って、植木鉢に植えてみました。
そのときは、親木と同じ葉の色、葉の形をしていたのですが、
植えて1ヶ月くらいで、まったく変貌してしまったのです。



鋸状は、さらに大きく、切れ込みはさらに大きく、
そして、葉っぱは紅葉してしまいました。
こんなにも変化自在な植物だったとは、
描いてみるまで気づきませんでした。
 
 
     
  2017.07.14  隠された扉  
 
隠された扉 日本画 P8

満開の純白の花と、がっしりと絡まったトゲだらけのツル。
いばら姫、白鳥の王子など、おとぎ話によく登場するイバラ。
お話の中でイバラは、いつも何かを守っていたり、隠していたり、
そして、場面展開のキーワードになっていたりします。
隠されている扉は、入り口なのか出口なのか、
それとも、まったく別世界へつながる通路なのか・・
・・・という絵を描いてみました。


隠された扉 (部分)

隠された扉 (部分)
 
 
  2017.07.05 故 山口敬次さまへ 
 

ご自身の最期の仕事の一つと思われていたでしょう北野神社の牛。
2016.0.6/20 小さな町の小さな神社で
渡辺尋志さんから、制作に入りました、とのお便りをいただきました。

上に置かれている小さな像が完成模型なのでしょう。
今まで置かれていた牛は、仰ぎ見るようなポーズでしたが、
今度のは首を曲げているようですね。
全く違う雰囲気の牛になりそうで、
中町のみなさまもさぞ楽しみにされていることと思います。

完成は、10月頃とのことでした。
ただ一つ、心より残念でならないのは、この牛の神社への奉納の瞬間、
貴方がそこにいらっしゃらないことです。
しかたのないことと、十分わかっていても、
どうしても気持ちをおさえることができません。

貴方が旅立たれてから半年近くが過ぎました。
祭は無事に終わり、今年もまた暑い夏が近づいて、
町は去年と同じように見えています。

でも、巻紙のほんのわずかのズレが、
巻き進めていくうちに大きく影響していくように、
貴方を失ったことで、この町は、
この先変わっていくような気がしてなりません。
 それは誰にも止められないことなのでしょう。

今はただ、この牛が、トラブルなく完成まで行き着けますように。
どうかお見守りください。